監獄の住人 Citizen of Prison

6/133
前へ
/266ページ
次へ
ガブリエルに青年から受け取った皮袋の中身を見せた。 何事かと思っていたが、ガブリエルも心臓が止まるかと思った。 信じられないほど大量の宝石だ。 「どうやって・・・手に入れたんだ。」 ガブリエルも思わずうめいていた。 アデルとガブリエルは気持ちを切り替え、青年から できるだけ多くの情報を聞きだすことにした。 ガブリエルは心配そうに患者を診ると、深刻そうに言った。 「かなりの重病だ。栄養状態のよいところで、 長期間休養すれば命は助かるが、今までのような生活を続けるなら、 確実に命を落とすだろう。」 青年は言った。「代金は宝石で払います。」 「ウム、わかった。」そういうとガブリエルは考え込んだ。 アデルは妹に話しかけた。 「おじょうちゃん名前はなんていうの?」 「グレースだよ。グレース・マクレガー。」 妹の答えを聞いた青年は仕方なく名乗った。 「お、俺は、ライアン・マクレガーといいます。」 「私としても救える命を救えないのはつらい、 だがこれだけの宝石を君が持っている理由を知らなければ、 受け取ることはできない。」 医者は暗に出所を言わないと妹を見捨てると言っているのだ。 「先生 宝石商の知り合いがいるらしく・・・」 「黙りたまえ、アデル君。」わざとらしい医者とアデルの 掛け合い。     
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加