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「ライアン君、君はこの宝石が何ポンドに相当するかわかるかね?」
ライアンは答えられなかった。
「もし盗品だと言うなら、私は君を突き出さねばならない。
だが、君が正直に話してくれるのなら、グレースの身柄は保証しよう。
我が家で、治療が終われば、我が家に住み込みで働かせてもよい。」
ライアンは騙されているのではないかと思ったが、
妹の命がかかっている。必死に頭を回転させていた。
「私も、治療費が払えない乞食だったんだよ。毎日塵をあさってさ。」
グレースが 「それ、ほんとう?」と無邪気に尋ねた。
「私の出身は ゲットーだよ。」
ライアンは理解した。ゲットーは貧民窟の中の貧民窟。
アデルの言うことが本当なら、妹は助けてもらえるだろう。
「アデルさん ゲットーのどこに住んでいました?」
ライアンはアデルの答えを聞き、
アデルがゲットーの貧民出身であることが理解できた。
それを確認したのかガブリエルが優しく言った。
「君が直接、殺して盗ったというならともかく、
拾ったとか、盗んだと言うだけなら、見逃そう。」
ライアンはなけなしの勇気を払い、本当のことを話した。
すると、
ガブリエルは、宝石をすべておいていくことを条件に、
ライアンに服や銀貨を渡して、別の街のゲットーへ行くように言った。
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