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「すぐに逃げたほうがいい。妹さんのことは
私が命に代えても守る。」
ガブリエルはそういうとアデルに案内を指示した。
ライアンは深々と頭を下げ、心からお礼を言った。
ガブリエルは少女をベッドに寝かせ、看護の人に体を拭く様に指示していた。
ガブリエルは蒼白な顔をアデルに向けると
今すぐゲットーの反ユダヤ主義レジスタントの活動拠点に行くように
言った。
アデルは事態を良く飲み込めずにいたが、緊急であるのはわかった。
ライアンを引きつれ、早朝の街に飛び出していった。
(逃げるかも、いや、妹がいる。あれだけの宝石を盗めば
法律的にも死刑だ。盗賊一味に見つかれば、拷問をずっと
受けるだろう。それでも盗んだのは、妹は大切なのだろう)
アデルはそう判断し、ゲットーに走りこんだ。
事情をライアンから聞いたレジスタンス活動の男は言った。
「至急、ハッペンハイムに連絡を請う。」
それを聞くと大慌てで、2人の男が別々の方向へ飛び出していった。
「これだけの量の宝石がカルテルに見咎められぬとはな、くっ。」
男は歯軋りし、吐き捨てた。
「至急、ハッペンハイムに連絡を請う。」
今度は、その男ともう2人が外に走り出した。
全速力で走っているのだろう、見る見る姿が小さくなる。
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