僕は病院に君の墓参りに行く

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当然、彼女の両親は認めることはなく、 犬の死体をリュックにいれて、 俺とサユで山の見晴らしのいい そして、サユのおばあちゃんの家が見える 場所に埋めた。 今でもその場所ははっきりと覚えている。 犬の死体をリュックにいれたことをしかられ 俺も両親に一晩、外に出された。 サユは行方知れずになり、村中が総出で 夜の山や川を探した。 俺が、犬を埋めた場所にサユの母親を 連れて行くと、サユはそこで泣きつかれて 眠っていた。 あれから25年 俺達は結婚して13年になる。 残念なことに新鮮味もなく、結婚記念日さえ忘れて しまう俺だったが、彼女は良妻賢母を 勤め上げてくれていた。 俺は、東京の大学を出て、塾の講師をしていた。 まあ、不景気で就職に失敗したとも言う。 結婚してすぐ生まれた、長女は中学生になった。 常日頃から、弟が欲しいと言い続けていた実乃梨は 中学にあがってすぐ、念願がかなった。 病院で 洋水検査の結果、男の子だと判明した。 本当に幸せだった。 だけど、病院に一人呼ばれた俺は、 もうひとつの事実を突きつけられた。 子宮がんだった。 今すぐ手術すれば、5年生存率は80%以上 医者は、子供はあきらめて、手術を勧めてきた。 俺も子供よりサユが大切だ。 彼女に事実を伝え、堕胎をすすめた。     
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