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魔野 ぬけ太
序文
1
私は生れ落ちたときから、強かった。
種族的には、魔神と熾天使のハーフ
聖と魔を両方使用できた私は、
すべての魔法を習得し、
剣士としても超一流だった。
やがて世界を征服したわたしは
領主となり平和に世界を治めた。
だがそれから、2680年
私は年老いた。
かつての力は知識としてはあるが、
もはや行使するだけの体力も気力もない。
私は疲れた。人生に疲れたのだ。
2
おいこののろま、今から草野球やるんだ。
俺の家までランドセル届けろよ。
おれも、おれもー。
たのんだぜ、ぬけ太。
ランドセルを全員の家に届けると、
一人家に帰って来た。
両親は共働きで、ぼくは一人っ子だ。
何をやってもダメなぼくは草野球の
メンバーにも入れてもらえない
一人でボールを壁に投げて遊んでいると、
家の勝手口のほうへボールが転がっていった。
のどが渇いたので、冷蔵庫からお茶を飲もうと思い
玄関ではなく、勝手口から家に入った。
はず・・・・だ。
3
「どなたかな。」
天使の様な優しさを持った言葉で
地獄の底から響くような声が聞こえた。
「うわーーーっ。どなたですか。」
ぼくは、王様のような姿をした化け物に出会った。
「そんなに驚かれても困るのう。」
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