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スターイプシロン
ハイヤーさん・ハイヤーさん・・・・・
「何の声だろう?」
「天国か、それとも地獄か?私は確かに死んだはずだ。」
しかし、肉体の感覚が これが 死後の世界でないことを
如実に語りかけていた。
体にまとわりつく、重苦しい空気を感じながら、
ふと目を覚ますと、見たこともない世界が広がっていた。
「ここは地獄か?私がなぜ地獄に?」
生まれ育った ゲットー ここはそこによく似ていた。
しかし、ガラス状の壁から見たそこには、
青と白の混じる 球体が浮いていた。
古代ギリシャの賢人が 月に映る影を見て
地球は球体だといった。
今、眼前に広がるものはとても信じられないものだった。
ビーーーーッ。(擬音)
機械音がなると、閉じ込められていた
真っ白な牢獄の扉が開いた。
硬いうろこに覆われた、2足歩行の トカゲ、ドラゴンにも似た生物は
何故か、聞きなれた ヘブライ語で話しかけてきた。
「早く出ろ、新入り。」
トカゲはそう言うと、ハイヤーの青い尻を蹴り上げた。
あまりに痛みに悶絶したが、あることに気がついた。
自分の体の痛みが 10代のころのようだった。
ふと手を見ると 艶と張りのある みずみずしい肌が
そこにはあった。
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