秋桜惑星(コスモスプラネット)

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 傍目にはそう映るように、細心の注意を払い、ありふれた人生を演じて歳月を過ごした。  実際のところは、コスモスとリンクして以来、真人はまさに地上に現れた神だった。何か欲しいもの、したいことがあれば、ひと言つぶやくだけで、実現した。  たとえば、朝、目覚めて、 「今日は仕事に行きたくないな」  と独り言を言うと、しばらくして会社の緊急連絡網が回ってくる。 「社内のシステムが突然ダウンした。原因不明。復旧にはおそらく丸一日掛かるので本日は臨時休業」  たとえば。  新居のマンションで、上の階から深夜に、どんどん、どしん、と生活音が響いてくる。 「眠れないよ。何とかならないかなあ、上の人」  とボヤいた翌週、上の階の住人は勤め先の経理で不正をしたことが発覚し、逮捕され、家族はマンションから退居していった。  リンクしたコスモスは稼働しているらしい。真人に関するデータを採るだけではなかった。真人の願望を、世界中のシステムを駆使して現実化してしまうのだ。  願望のリンク先がコスモスを通して全世界に開かれてしまっているのか。  それとも、コスモスの主体は自分の自我と真人の自我とを同期しすぎているのか。  どうもコスモスのプログラムには綻びがあるように感じる。
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