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汎用AIコスモスに世界統治を委託しようという声があがった。
しかし他のAIが、人類史上に類のない「十五パーセントの大虐殺」の犯人はコスモスだと告発し、連合してコスモスのシステムに攻撃を始めた。
人間にわからないところでAI間の世界大戦が繰り広げられていた。
その頃、真人の許へ宅配ドローンが贈り物を届けてきた。
送り主は「山之上真人」。
自分自身だが、真人には覚えがなかった。
鉢植えの、可憐なコスモスの花だった。
「どうして? どういうこと?」
ミクに訊かれても、真人は首を傾げるばかりだった。
やがて、はっと思い当たった。
「もう一人の自分からだ……」
真人はふらふらと洗面所に入って、蒼ざめた顔を鏡に映した。
「大虐殺を願ったのは……」
自分の心を現実と化したコスモスの存在を実感した。
コスモスが完全に世界を支配したのだ。
険しい表情になった。
剃刀を取り出して、自分の首筋の一部を切った。
流れる血に指を入れ、顔をしかめて何かを引き出した。
薄いビニールの切れ端のようなもの。
コスモスとリンクしているマイクロチップの装置だった。
真人は蛇口から水を出して、装置をシンクの穴に流した。
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