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遠い外宇宙から来た惑星探査の飛行体は、成層圏内に入ると、その惑星を一周し、ふたたび宇宙に離脱して、次の目標を目指した。
その惑星の標準時間で十六秒間の出来事だった。
収集したデータは二兆八千万項目。
惑星の表面は海と陸地に覆われ、さまざまな気候の相がある。複雑な生態系が存在していた痕跡を確認した。陸地には、コンクリートやアスファルトといった材質の、自然の生態系を侵す構造物が増殖、浸食していたが、それを造った生物はすでに死滅している。
死滅したその生物の活動範囲だった陸地の大部分には、植物の花が咲き乱れている。
ピンク、白、薄紫の花々は、同じ属であり、死滅した生物の使用言語で、Cosmos bipinnatus Cav.。
コスモスの花が地表を覆いつくしている原因を探った飛行体は、惑星全体を支配するひとつの意思を見つけた。その意思が及ぼす危険を察知して、一周したところで緊急離脱したのだった。
十六秒間の出来事は、この惑星でかつて使われていた年号でいえば、西暦二千九十三年のことである。
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