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汎用AI新世紀財団は、半透明のドームに覆われたコンクリートの広場にぽつんと置かれた、ティッシュペーパーの箱みたいな形の、白と銀色のストライプの小さな建物だった。
受付けを通って「研究エリア」と記された地下十階に下ろされた。
背広を着た三十前後の男が応接室に案内した。顔立ちが魚のハゼっぽい。
「おめでとうございます。では早速、我が財団が開発中の汎用AI『コスモス』と対面していただきましょう」
男と真人とミクしかいない。ミクは明るくて静かな応接室をキョロキョロと見回している。これのどこが授賞式なの、という顔で。
真人は男に促されて、次の部屋へのドアを開け、一人で入っていった。
そこも応接室だった。
テーブルを挟んでソファが向かい合っている。
奥のソファに、さっきの部屋に残ったはずのハゼ男がいた。
「どうぞ。お掛けください」
自分は人間ではないのだと示すつもりなのか、額に赤い大きなガラス玉を嵌め込んである。
そんなことをしなくても、真人には、目の前の男がホログラム、つまり可視化されたAIの送受信媒体だとわかる。
こいつがコスモスだ。
「失礼します」
腰掛けながら、授賞式じゃなくて面接試験みたいだと思った。
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