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別の部屋で契約書にサインし、注射器みたいな器具で首筋にマイクロチップのような装置を埋め込まれてコスモスとのリンクを設定した。
「入賞賞金」の現金入り封筒を手渡されてティッシュペーパーの箱みたいな建物を出た。
ミクは待っている間ずっと居眠りしていて、帰る道で、
「授賞式なんてなかったじゃん」
と唇を尖らせた。
「真人がよその部屋へ行ってから後のこと、何も覚えてないの。熟睡」
「てか、爆睡だぞ、恥ずかしい」
真人は、コスモスとのやりとりを話した。
「ぼくは契約してよかったのかな」
「さあ。なんか不安。これからは、あそこの地下十階に、もう一人の真人が居るってことでしょ」
やがて人類の全知識と思考を獲得するもう一人の自分。いや、あれは自分ではないのだけれど。
真人は首に残る違和感を振り払う気分で言った。
「銀座で寿司食べるぞ、回ってない店で」
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