side.奈帆

6/6
前へ
/9ページ
次へ
涙声でいう慎を、今までしたことない冷たい目で見つめる私がそこにいる。 「そんなのサイテーじゃん。」 私は最後の言葉を慎に突き刺した。 「もう、知らない。」 「え?」 「もう私と関わらないで。ありえないから。」 ごめん、ごめん慎。 こんなこと言ってごめん。 本当はちゃんと応援してあげられる私になりたかった。 好きに男女なんて関係ない、そう言ってそばにいられる私になりたかった。 でも、そこまでいい人になれないの。 大好きなあなたにはこれ以上ない程私のことを嫌って欲しい。私のことを忘れて欲しい。 そうじゃないと自分に甘い私はどこかで期待してしまうから。 私は慎の傷ついた顔を見ないように扉を出た。 さようなら、慎。 そんな言葉を心で呟いて。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加