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俺はその背中をぼーっと見つめる。
ごめん、慎。ごめん、奈帆。
俺は二人の気持ちをちゃんと知っている。
慎は最期の瞬間まで奈帆にそばにいて欲しいことも。
慎の病気のことを知ったら最期までそばにいることを望むだろう奈帆の気持ちの強さも。
どっちもわかってて俺はこのまま二人のついた嘘を突き通す。
だって……
好きだ、慎。
俺は奈帆に嘘をつくためじゃない。
本当にお前のことが好きなんだ。
小さな頃からずっと。
奈帆と慎が両思いなのを知っていて、それでも慎が好きだ。
君の最期の一瞬までそばにいたい。
俺だけが慎の近くいたい。
だから嘘の上に嘘を乗る。
たくさんの恋心の上に俺はまた嘘を塗って、慎の方へと歩き出した。
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