2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
今、僕は実家を離れ、都内にある安アパートに住んでいる。帰って来た直後、僕は高校を辞めた。と同時に近所の町工場に履歴書を持っていき、そこで働き始めた。
穂香は滝川村を離れ、僕と同棲している。さらに同じ町工場で、パートとして働いている。
僕たち二人は、他人からどう見えているのかは知らない。だが、世間一般で言うところの恋だの愛だのといった甘ったるい概念のものとは、対極の位置にある関係なのは間違いない。
そう、僕たちは罪を犯した。幼い頃の、愚かな判断……それが原因で、四人の尊い命が失われた。僕たちは、間違いなく罪人なのだ。犯してしまった罪に対する罰を受けなくてはならない。
もっとも、今さら警察に自首しても何にもならない。小学生の頃に犯した罪を裁く法律は、日本には存在しないのだから。
ならば、僕たち二人は生きなくてはならない。償うことの出来ない罪を背負ったまま、この先の長い人生を一生懸命に生きる。もちろん、途中で自らの命を断つことなど許されない。
僕の使命……それは罪を背負い、穂香と共に生き続けることである。穂香もまた、生きなくてはならないのだ。
もし、彼女がどうしても己の犯した罪に耐えられず、生きることをやめたくなったのなら……その時は、僕が穂香を殺す。それもまた、僕が果たさなくてはならない役目なのだ。
穂香を殺した時、僕は殺人者として罰を受けることになる。
その後は、残りの人生を生きるだけだ。彼女の分まで、罪を背負って生き続ける――
最初のコメントを投稿しよう!