衝動

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   *  俺たちは居間に向かい合って座っていた。  幸い、七海はこの遺書を書きながら寝落ちしてしまったようだった。どうしたらその状況で寝落ちられるのかよく分からなかったが、とにかく彼女が無事で本当によかった。  しかし彼女はそこまでは語ったものの、動機については黙秘を続けた。  尋問が始まりかれこれ数十分。まだスーツも着たまま、深夜の二時に俺は何をしているんだろうと思いながら彼女の言葉を待った。  しばらくして、彼女はふと何かを思い付いたように顔を上げると、意気揚々と答える。 「……ほら、私最近携帯小説書いてるじゃない。小説の書き出しに遺書なんてどうかなあ、なんて試しにちょっとプロットを」 「嘘を付くな、嘘を」  ピシャリと言うと、彼女は残念そうに視線を下げる。  その表情は暗い。  
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