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七海は堰を切ったように激しく泣いた。
それはもう遠慮の無い声量だった。その声はおそらく高橋さんのお宅にも届いていることだろう。俺は彼女をそっと抱きしめると、優しく背中をさすった。
「そうか。つらかったな」
「うう……」
彼女はひとしきり泣くと、ごめんね、もう大丈夫と言ってほんの少し笑顔を見せた。
やはり、今日の晩飯は無かった。コンビニにでも行くかなと思ったが、七海を一人にするのも不安なのでカップラーメンでいいか、と考えながら寝室に戻る。
上着とネクタイをベッドに放ると、ふうと息をついた。
正直、いつものことだった。
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