衝動

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   誰にも理解されなくてもいい。そんな彼女を俺は、支えたいのだ。  寝室から覗くと、彼女は居間のソファーに体育座りをしてテレビを見ていた。泣き疲れてぼんやりとしたその表情に話しかける。 「七海。明日、熱出たって言って会社休むからさ。前話していた旅行、ちょっと前倒しで行くか。日帰りだけど」  そう言うと、彼女は花が咲いたように笑顔になった。 「行く! やったあ、初オーストラリアだ!」 「そっちじゃない。下呂温泉の方」  ポンコツだけれど、彼女のそんな笑顔が俺の癒しだ。  
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