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「おはよう」
「お母さん、おはよう! 絃ちゃん、お部屋で食べるみたいだから、私が運ぶよ!」
「そう……ありがとうね。用意してくるわ。あなたのご飯も持ってくるわね」
「うん」
少し悲しそうな顔に変わった母は、ふぅっと息を吐きながらキッチンの方へ歩いて行った。
私はその後ろ姿を見送り、笑顔を引っ込めて、ダイニングテーブルの自分の席に座った。
ちらりと隣にある絃ちゃんの席を見る。
ここに二人で並んで座ることは、今はもうない。
姉である佐伯絃は、一年前に交通事故で亡くなった。
中学校からの下校中のことだ。
一緒にいた私も巻き込まれ、一時は危ない状態になったらしいけど、奇跡的に意識を取り戻した。
でも、私が寝ている間に葬儀は終わり、残ったのは仏壇と、私と同じ部屋にある勉強机や小物だけだった。
私たちは一卵性の双子で、大抵の人は見分けがつかない程、外見が似ている。
小さな頃から、よく入れ替わっては人を混乱させて遊ぶという、少し捻くれたこともしてきた。
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