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でも、内面は正反対だった。私は明るくて元気が取り柄。絃ちゃんは大人しくて、穏やかな子。
元気しか取り柄のなかった私は、現在、詩と絃ちゃんの二人を演じている。
全ては、母のためだ。
母は絃ちゃんのことをとても大事に想っていたからか、目を覚ました私のことを『絃ちゃん』と呼んだのだ。
両親は決して、私と絃ちゃんを間違うことはなかったのに。
病院で目が覚め、私だけが助かったのだと聞かされた時は、私の半身が無くなったのだと絶望した。
すべてがお揃いで、いつも一緒にいて、仲が良くて、自分たちでも入れ替わった時に違和感がない程だった。
絃ちゃんの考えることもやりそうなことも分かったし、絃ちゃんも私のことは何でも分かっていた。
そんな自分の一部を失ったのだから、私の絶望は言葉では表すことなんてできない。
心も身体もズタズタに引き裂かれて、痛くて痛くて、私は事故から半年ほどの記憶が曖昧になっている。
生きる希望も楽しさも喜びも、何もかもを失い、笑顔を失い、泣くことさえ出来なくなった私に、母は言った。
『あなたが笑顔にならないと、あの子も悲しむわよ』と。
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