第1章 詩

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瑛祐(えいすけ)くんが来たわよ」 「うん、分かった」 私は空になった食器を流しに入れ、急いで玄関から飛び出した。 門の前に立っているのは、幼馴染みの北島瑛祐くん。 私達がここに引っ越してきた3歳の頃から付き合いがある、同級生だ。 「瑛ちゃん、おはよう」 「絃は?」 私が門を閉めている間に、私に声をかけつつも、歩き始めた瑛ちゃんの隣に慌てて並ぶ。 瑛ちゃんはぶっきらぼうで、ちょっと意地悪だけど、私にも絃ちゃんにも優しかった。 こうして、事故の後、私が学校へ通えるようになってから、瑛ちゃんは毎日迎えに来てくれる。 でも、毎朝、最初の台詞は『絃は?』だ。 瑛ちゃんも、絃ちゃんが好きだったから。 だから、瑛ちゃんも絃ちゃんが死んでしまったことを信じたくないんだと思う。
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