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でも、母とは違うところがある。
瑛ちゃんは、ちゃんと絃ちゃんが死んでしまったことを理解しているのだ。
「絃ちゃんはいないよ」
「そうか」
どうして、当たり前のことを毎日聞くのだろう。
『いないよ』と答えるのは、すごくすごく悲しいのに。
どうして瑛ちゃんは、わざと私が悲しむような質問をしてくるのだろう。
そうか、と言って、真っ直ぐ前を向いて歩く瑛ちゃんを隣から見つめる。
瑛ちゃんの目は、いつも前を見ている。
絃ちゃんが死んだ時も、私の前では絶対に泣かなかった。
まだ包帯が取れない頃、瑛ちゃん家族がお見舞いに来てくれた時のことが、私は忘れられない。
瑛ちゃんは私を真っ直ぐ見て、『絃じゃない』と言ったから。
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