第1章 詩

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生き残った私のことを聞かずに、絃ちゃんのことを最初に聞いてきた瑛ちゃんに、腹が立った。 『当たり前だよ。私は詩だよ』 私は確か、そう言ったと思う。 その言葉に病室に居た全員が、息を飲んだのが分かった。 どうして今更、皆は驚くの? 私よりも皆の方が、絃ちゃんがどうなったのか知ってるくせに。私だって、子どもだけどちゃんと理解してる。 私だって、絃ちゃんが大好きだ。生きていて欲しかった。 でも、生き残ったのは、詩の方だった。 私は本物の絃ちゃんにはなれない。 だから、私がこれからもずっと絃ちゃんの想いを抱えて、一緒に大きくなっていく。 きっと絃ちゃんなら、一緒にいたい気持ちを分かってくれるから。
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