【おまけ】皇帝執務室の日常(カール)

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 これにはカールも同意する。どうにもストイックで、恋だの愛だの語る人間ではなかった。それどころか幸せを追求するようなタイプでもなかった。だから時々、ヴィンセントが戻ってからはよく話していたのだ。  クラウルに、幸せになってもらうにはどうしたらいいのか。 「ねぇ、どんな感じなの? 騎士団でも様子分かる?」 「全然。二人ともある意味ストイックな感じでドライでさ。騎士団の中じゃ他人みたい。でも安息日前日は必ずと言っていい程外泊届出してる。多分、クラウルの秘密基地のどこかに居るんじゃない?」 「愛の巣って奴だね!」  なんだかワクワクしてくる。クラウルがどんな風に恋人との蜜月を過ごし、愛を深めているのか。あいつが恋人の前でどんな顔をするのか。  相手をリードするように大人な顔を見せているのか。それとも少し抜けた感じなのか。ドライな愛…なんてことは無いと思う。案外情があって、惚れ込むタイプだ。好きな事をする時の子供の様な表情を思いだして、カールは笑う。 「ねぇ、ヴィン」 「ん?」 「今度、クラウルにかまかけて紹介してもらおうよ」 「え!」  ヴィンセントは驚いたような、そして困った顔をする。けれどカールはそこを押し切るつもりでいた。 「あまりこうした事は突かない方がいいと思うぞ。クラウルも公にはしたくないんだろうから、私達に言ってこないんだ。時が来れば紹介してくれるさ」 「……ヴィン」 「…渋られたら引くんだぞ」     
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