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近衛府からのSOS
四月が始まった。
街警が終わって宿舎勤務になったランバートは、何故か入り口付近で待ち構えていたオスカルに腕を掴まれ、そのまま近衛府執務室へと引きずられてきた。
そして今、土下座でもしそうな勢いで頭を下げられている。
「あの……」
「お願いランバート! 近衛府手伝って!」
「えぇ……」
人に頭を下げる事は仕事でなければ絶対しない。そんなオスカルが拝み倒す勢いで頭を下げているのだ。正直、悪い予感しかしない。
「あの、何事でしょうかオスカル様」
「お願い、何も言わずに…」
「それはできません!」
何も言わずに引き受けたら絶対に後悔する。
そんなランバートの思いを感じ取ったのか、オスカルが小さく舌打ちをする。こういう部分は流石だ。
「あの、何を手伝えばいいのでしょうか?」
「あっ、手伝ってくれる気はあるんだ」
「お話によりますし、ファウスト様の了解を取らなければ動けません」
変わり身も早くペロっと舌を出したオスカルは悪びれた様子もなくソファーに座る。そして対面にランバートを招いた。
「何から話せばいいかな…。実は一週間後に、陛下主催の舞踏会があるんだけど、知ってる?」
「えぇ、存じています」
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