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目的地も無く、気の赴くままに歩を進める。
それは、人の気配がしない方向だった。
そして、辿り着いたのは、
石造の建物が並ぶ一角。
人の意識を遠ざける、又は意識させない、
そんな雰囲気があるというのに、
それを認識した若い女は、
引き付けられたかのように、その一角へと近付いた。
建物は連なり、それを形作る石壁が左右に、奥へと続いている。
建物同士を隔てる細い通路が、真っ直ぐに延びる。
…………
女は、足を踏み入れた。
○
___
___
___"青い"。
塗り壁のような外観の、やや廃れた石面。
それが、空の色と同調しているのだ。
奥に足を進める程、青が濃くなって行く。
遮られる日光の割合が増し、明るさが失われるため、だろうか。
辺りに人の姿は見えない。
気配も感じられない。
静か、
閑か だ。
寂しさと、
一抹の恐ろしさを、感じる。
きっと、そんな雰囲気も、理由の1つなのだろう。
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