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恋は盲目
恋は人を盲目にする。
そんな言葉を噛み締めるように伊波恭史は公園のベンチに座り、天を仰ぐ。澄み渡る青空は果てしなく広がり、彼の苦悩がいかに矮小であるかを嘲笑っているかのように思えた。
曇り空の方が良かった。良いことも悪いこともひっくるめて丸ごと包んでくれる曇り空の方が……。そしていっその事なら、すべて雨が流してくれれば……。
そんな伊波の考えとは裏腹の気持ちの良い青天は公園に多くの人を呼び寄せていた。それほど広い公園ではないが、散歩をする老人、談笑するカップル、走り回る子供たち、それを見守る母親たちなど様々な人で賑わっている。
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