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終電の三番前に乗るといつも以上に混んでいた。
そうか、金曜日だからか。
でも30分もすれば都内の大きな駅に着き、席に座る事が出来るだろう。
そのまま1時間寝て起きれば我が家の最寄駅に着く。
この線はつい最近都内に通じるようになったばかりのローカル線だ。
田舎の駅まで続いていて寝過ごすと後は無い。
都内に大きな駅に着くとかなり人が降りた。
目の前の席が空き腰を下ろす事が出来た。
ふと向かい側を見るといつもの顔ぶれ。
向かい側の左から順番に最寄駅が同じギャル、疲れ切って頭も薄いが恐らく40代のサラリーマン、そしてあまり見かけた事の無いフードを被った20代の青年。
どいつもこいつも携帯をいじっている。
さて1時間寝て起きなくちゃな、そう考えながら気がつくと意識は途絶えた。
ドアが開き涼しい風が入って来たところではっと目が覚めた。
ふと駅名を見ると最寄駅の一つ手前だ。そう思ったのと同時にドアが閉まった。
ドアが閉まったのと同時に車両に違和感を感じた。
いつもの顔ぶれが誰一人として向かい側からいなくなっていた。
何となく外に目をやると全く見た事が無い風景が広がっていた。
街並みや畑は確かにこんな感じかもしれないが、いつもこの駅から見る風景とはだいぶ異なっている。
次の駅まで5分だったが妙な胸騒ぎからいてもたってもいられず席を立ち隣の車両に移動した。
驚く事に隣の車両の一番奥にギャルが寝ていた。
少し安心したがこの車両で席に腰を降ろすのは何だかギャルを狙っているようで気が引けたので、更に隣の車両に進もうとした。
しかし、車両に移動する手前でギャルに一瞥向けるとそこには誰もいなくなっていた。
嫌な予感がして更に奥に進むと次は一番奥に40代のサラリーマンがいた。
こちらも同様に奥の車両に進もうとして、隣の車両のドアを開ける前に一瞥するとこちらもいなくなっていたのだ。
そうか、俺は疲れているんだ。こんな働き方していつも同じ人たちを繰り返し見ていればこんな夢だってみるさ。
次の車両はきっとあのフードを被った青年だ。そしていなくなる。
その次の車両に進むときっとギャルがいる。その繰り返しの夢にいるのだ。
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