夕陽の時計塔

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私は写真部に所属している。 写真部は部員も少なく、地味な部活で活動内容は文化祭に展示するための写真を撮ることと行事で写真を撮ることだけ。 つまり平常時は帰宅部同然で強いて言えば一年に一度文化祭用の写真を提出するのみである。 よって暇なのだが文化祭がいよいよ近くなったので写真を撮らなければならない。 はぁ、と溜め息を吐く。別に写真を撮ることは嫌いではない。 今のそれなりには楽しい時を残せるから。 未来に悲しいことがあってもその写真を見れば過去の幸せに浸れると思うから。 とは言えいかんせん面倒だ。 文化祭で飾ってもどうせ誰も見ないのに。 自己満足しか生まない写真など他人に何の価値があるのか。
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