七不思議の時計塔

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家に帰って体を湯船に沈めた時、やっと少し落ち着けた気がした。 冷静に考えてみれば智美ちゃんも言っていたように幽霊なんて存在はただの怪談話でしかなく、「時計塔の幽霊」なんて掃いて捨てるほどある都市伝説でしかない。 こんな自殺率の高い国にいる以上歴代の生徒が自殺していたなんて珍しい話でもなくその原因がいじめで学校の時計塔からの自殺だったとしても何ら不思議ではない。 その生徒がクラスメイトと同姓同名だったなんて驚きはするけど別にありえない話ではないではないか。 栞の所有の件は聞き間違いの可能性もあるのだし。 そう思ってもやはりどうしても関連付けて考えてしまう。 「きりかー。さっさと出なさいよー。」 手を見るとふやけて皮膚がだぼついている。いつの間にかそんなに時間が過ぎていたようだ。 体を湯船から出して拭くが何かぬぐいきれないような感触が残ったままだった。
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