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「そこから先は『取り調べ』だよ。まぁ‥‥怪しいヤツを調べるのは仕事だからな。最初こそ『あの女』も知らばっくれていたが‥‥最後には誤魔化しきれなくなったらしく、白状したよ。『清美の身体に乗り移った』‥‥ってね」
『乗り移った』清美の父親を名乗る男は確かにそう語った。
実際の処、薄々『もしかしたら』という推理は幹夫もしていた。だが、いざそう言われても俄にはとても信じられない。
「‥‥『信じられない』と言いたいところですが‥‥さっき、僕は彼女に抱きしめられたんです。彼女は、異常なほどに冷たかった。それが‥‥もしそれが理由なら、納得出来る気もします」
「ん‥‥そうか。話をしたところで信じてもらえる自信が無くてな‥‥黙っていようと思っていたが‥‥信じて貰えて良かったよ。‥‥結局、ワシは『あの女』と袂を分かつことにした。赤の他人どころか何者かも知れない魔女と一緒に暮らす気は無いからな‥‥」
幹夫は、ふと思い出したように尋ねた。
「ところで‥‥さっきの『約束』というのは?」
「あれか‥‥ワシは『あの女』と約束したんだよ。『二度とやるな』ってね。もしも『次』があったら、ワシは躊躇無くお前を撃ち殺すってね」
男は警察官を名乗っていた。であれば拳銃を所持していても不思議はない。
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