例え今日が『終わりの日』であろうとも

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例え今日が『終わりの日』であろうとも

大学は冬休みに入っていたが、彼女はチェインでのバイトを続けていた。 彼女は『親元』を離れて以来、一切の金銭的援助を受けていないそうだ。そのため、アパートの家賃や学費を稼ぐという現実的な必要性があったのだ。 彼女は「固形物はほとんど食べていない」と言っていた。代謝が促進されるからだ。彼女がチョコレートを飲むのは、それが彼女にとって唯一の栄養源だからなのだ。 彼女は(のち)にあの時のディナーの事を「久しぶりにご飯が食べれて嬉しかった」と言っていたが、それはイコール、身体の限界を早める行為にも相違無かった。 「今は病院には掛かっていない」と彼女は言っていた。『清美』は近くの県立病院に入院していたらしいが、今は掛かっても無意味だし、何より治療費が無いからだと。 これが普通の人間であれば「何を馬鹿な事を」と引っ張ってでも病院に行かせるところだが、彼女の場合はそもそもの事情が事情だから何が正しい行動なのか見当もつかなかった。 結局、幹夫は彼女のバイトに付き合うことにした。 別に冬休みの間なのだから毎日でも来ようと思えば来れるのだが、何となくいつもの習慣で1週間置きにはなってしまうのだが‥‥     
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