『それ』は偶然と言う名の運命で
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『それ』は偶然と言う名の運命で

『彼女』との出会いは、大学近くにある地下街の古びた喫茶店だった。 そこは幹夫みきおにとって通学路ではあったが、特にこれまで興味も無かった店である。 別に特段の理由があった訳ではないが『レトロ的』な?とでも言うか。少なくとも若者向きでオシャレな感じとは程遠いのも、感覚的にあったかも知れない。 その日、幹夫は地下鉄を降りてから講義の時間を勘違いしていた事に気がついた。 「ありゃ?‥‥2時間近くも間が空くのか‥‥困ったな」 幹夫は足をとめ、辺りを見渡す。何処かに時間を潰せる場所は無いかと。 「‥‥少し戻ればスタバがあるけど‥‥あそこは常に満席だしなぁ‥‥」 ふと気が付くと、看板に『チェイン』と書かれた喫茶店がある。 店の窓にはスモークが掛かっていて中の様子は見づらいが、窓際は空席に見える。とりあえず満席というワケでは無いようだ。 「まぁいいや。時間さえ潰れれば」 幹夫は店のドアを開けた。 チャリンチャリンと鈴の音がする。 「いらっしゃい」 奥のカウンターにマスターの姿が見える。 「どうぞ、お好きな席へ」