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 片想い相手であるサキちゃんと一対一の状況となりアキラは緊張していたが、同時に嬉しくも思っていた。初めて見るサキちゃんの酔い顔は、少し艶っぽいけれど幼くもある不思議な魅力に満ちている。 「はいはい、聞いてますよ」  面倒見の良いアキラはサキちゃんにとって気を許せる相手なのだろう。アキラの気持ちになんててんで気づかない彼女は、今日も恋愛話を屈託なくアキラに向けるのだった。 「普通さ、女子に対して『あれー、太ったねぇ』なんて言う?」 「それてツヨシのこと……だよね」 「当たり前でしょ! 正直バカのあいつ以外誰がいるっていうの」  いつもサキちゃんの横に陣取っている派手な男、ツヨシ。その姿を脳裏に浮かべたアキラはつい舌打ちが出そうになる。  口の悪さを顔の良さと人懐っこさでごまかしているツヨシを、アキラはどうにも好きになれないのだ。まぁ理由はそれだけでなく、彼のポジションというものにどうしても嫉妬をせずにいられないからだろう。 「あーあ。何であんなバカと付き合ってるんだろ……」  コップを揺らしながら呟かれたサキちゃんの台詞に、アキラの心臓は跳ねそうになる。  そうだよね! と言ってしまいたかったが、こんな弱気な彼女に言うのもアキラは戸惑われる。そんな卑怯者にはなりたくはなかったのだ。 「でもバカ正直なところが好きって言ってたよね?」 「う……」     
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