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そこで赤くなるサキちゃんが可愛いとアキラは思った。
なぜ自分がツヨシなんかのフォローをしているのかと悔しくもなるが、悲しそうなサキちゃんを見ていることの方がアキラにとっては辛かった。
好きな人には笑っていてほしい。アキラはそう思っている。
しかしそんなアキラの想いを知らぬサキちゃんは、赤くなった顔を向けて吐息を漏らすようにとんでもないことを言う。
「それも分かんなくなっちゃった。アキラが、彼氏だったらいいのにな……」
「えっ」
想像していなかった言葉にアキラの鼓動がひときわ大きく跳ねた。サキちゃんから向けられる視線が艶っぽく見えるのは現実なのか、己の欲望のせいなのか。しかしその心臓の高鳴りも、すぐに平静を取り戻される。
「なーんて、言ってみただけだけど」
「あ……そう」
なんとも小悪魔的な視線と台詞。しかしそんなサキちゃんをアキラは嫌いになどなれない。それが惚れた者の弱みということなのだろう。
それにアキラはとうの昔にサキちゃんと付き合うことは諦めているのだ。
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