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冷えた酎ハイを注がれたコップに水滴がついている。それは空気中の水分が、冷えたコップのせいでくっつきその姿を現したからである。必死に空気中に身を潜ませていたのに、注がれたピーチ酎ハイの可愛らしさに魅了されたかのように現れた雫。
まるで今の自分のようだ──と、アキラが考えていたかどうかはわからない。
「素直がいいことだとは限らないよね」
アキラが見つめていた冷えた酎ハイ入りコップの端が、艶ある唇にひっついた。傾けられたコップの中身は小さな唇に吸い込まれ、その水面の揺らぎを見つめながらアキラは言葉を返した。
「どうしたの、急に」
視線の先を唇の持ち主であるサキちゃんの顔に移すと、彼女は可愛らしい怒り顔を作っていた。
「どうもこうも、聞いてよアキラ!」
コトンと机に置かれたコップの周りには、すでにいくつかの空の缶やビンが並んでいる。
七畳ワンルームのアキラの部屋。起きているのはアキラとサキちゃんだけで、他のサークル仲間たちはいびきをかいてリビングの机周りに転がっていた。
午前一時、起きているのは二人だけ。
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