第1章

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 あーいちいち考えるのもめんどくさい!  私は、そういうのから一切ガッサイ関わらないようにした。  学生のうちは、そういう嫌な人に会っても避ける事はできたが、大人になるとそうはいかない。  嫌な人とでもうまくやっていかなければいけないなんて、すごく苦痛でたまらない。  私は、だからそこからも何度も逃げようとした。  けれど、逃げても逃げても結局なんども同じ状況になるばかり。ぐるぐると先の見えないらせん階段をずっと登っている様ななんともいえない恐怖感。 「ふんふん、それで穴に落ちちゃったんだね」  どこからともなく声が聞こえた。  声のトーンは、どちらかというと小さめだがはっきり聞き取れるよくとおる声だった。  暗闇なので、声の正体も聞こえた場所もちろん分からない。 「何かいろいろあったんだね。生きていくのは大変だね」  誰もいないはずの暗闇の中で、なんでこんな声が聞こえるのだろう。  これは、誰の声?自分の声でないことは、分かっている。 「ちりん、ちりん」猫の鈴のような声が聞こえた気がした。  私は、その声の主に話しかけた。 「誰ですか?」 「ちりん、ちりん」  この猫の鈴のような音は、だんだん私に近づいてくるようだった。 「いやぁ、見つかってしまいました」
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