第一章 そこで待っている

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「俺は、市来 大護です。俺も死んでいるのでしょうか?何かの虫にやられたとか、 過労死でしょうか……」  秘境では見た事もない虫や、蚊に悩まされ、大量の虫よけを買っていた。 秘境から帰って来たばかりなので、今も幻影を見ているのであろうか。 「……その元気ならば、過労死はないでしょう。私は、死保に留まるのも困るのでね、 ここに仕事が無いのか確認しに来ているのですよ」  死保には条件があり、仕事をしないと消滅してしまうらしい。 「私には、妻と二人の娘がいてね。保険金もあるだろうから、消滅は困る。 死んでいるのならば、死体で発見されないとね」  興梠の説明によると、死保は、幽霊もしくは同じ死保になっている者の、 原因を探し成仏させる探偵のような事をするらしい。 その依頼は、ここで座っている倉田がノートに書く事から始まり、最後に終もしくは、 エンドと書かれると終了するという。
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