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「しかし、市来君は中々の容姿だね。随分とモテたでしょう」
興梠の事務口調は、まるで経理に睨まれているような雰囲気であった。
よく、俺の会社の経理も、こうやって遠回しに、無駄な金を使っていないのか確認してきた。
「俺はモテません。俺、一つ下の弟がいましてね、それが、まあ、モテるの何のって……
それで、皆、弟に取られるのですよ」
彼女の全ても、弟に取られていた。
そもそも、最初から弟に近付く為に、俺に声を掛けていたのではないのか。
「男は容姿だけではなく、いかに金を稼ぐのかも魅力だからね」
俺を慰めているのか、持論なのかは分からない。
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