第一章 そこで待っている

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「……弟は、頭も良くて、運動神経も良くて……しかも大企業に就職も内定していましたよ。 それなのに、内定を蹴って、大学院に進学すると言っていました……」  俺は兄だが、何一つ弟に勝てなかった気がする。  興梠は、少し返事に困っていたが、倉田の手が動き出したので、話題を変えた。 「ここに来た時に、生きていた時の能力を、一つ持ってきている」  倉田は書く事であった。 「俺の能力って何でしょう……」 「その内、気付くでしょう」  倉田のノートを覗き込むと、長い文章が書き込まれていた。  任務の見出しとしては、『そこで待っている』と書かれていた。
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