第一章 そこで待っている

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『そこで待っている』  最寄り駅からバスで一時間半、街を抜け渓流沿いに走った先に、その集落はあった。 急斜面にあり、段々畑が少しある以外は、山しかない地区で、昔は炭焼きで生計を立てていた。 その後は、奥にある神社が有名になり、参道での軽食と土産を売った収益と、民宿で 生計を立てていた。  その地区で土砂崩れがあり、避難所にしていた小学校と中学校の合同校舎が埋まった。 救助されたが、避難していた老人は全員死亡、小学生は全員助かったが、 小学生を誘導していた中学生が三人死亡してしまった。  この中学生が死んでしまった原因は、点呼の誤りであった。 点呼で一人、小学生が足りないと気付き、崩れた校舎に戻ってしまったのだ。  この三人の中学生は、遺体も見つからず、今もこの土地に彷徨っていた。 死保では、子供を助けたのに迷っている事態を悲しみ、早期に解決せよと言っていた。 小学生は全員無事に揃っている事を知らせ、成仏させなくてはいけない。
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