第一章 そこで待っている

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 部屋には小さなキッチンと、玄関横にトイレがあったが、他には押し入れしかなかった。 俺が玄関のドアを開くと、外は真っ暗で何も見えなかった。 こんなに暗い夜というのもあるのかと、そのまま出ようとすると、 ボワンと跳ね返されて中に戻った。  再び挑戦してみると、又、中に戻されていた。 玄関から出る事を諦めて、窓から出ようとすると、窓も全く同じ状態だった。 「何だ、これ!」  思いっ切り窓に突進し、跳ね返されると、炬燵の上に転がってしまった。 「痛い!頭打った!」  どうやら、玄関と窓からは、外に出られないらしい。 しかし、俺が炬燵の上に転がっているというのに、眠ったままで目も開かないまま、 青年が座っていた。
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