308人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そんなのは、微々たる金額だね」
突然、後ろから声が聞こえたので、俺は驚いて半纏に抱き着いた。
「ど、どこから来たのですか?」
「押入れでしょう」
押入れと言い切られてしまい、俺は急いで押し入れを開けてみたが、そこには布団が
入っていた。
布団の隙間から天井を叩いてみたが、天井が開くという事もない。
押し入れの下段には箪笥が入っていて、引き出しを開くと男性用の服が入っていた。
反対側の押入れを開いてみても、内容は全く同じであった。
「君、新人なのか。私も、長くここに居る訳ではないけどね。
私は、興梠 泰三(こうろぎ たいぞう)。私は殺されたと思うのだけどね、
記憶がなくてね……困ったものですよ……」
興梠は、会社の経理課長で、誰かの使い込みを見つけ、上に報告しようと階段に走った
までは覚えているらしい。
最初のコメントを投稿しよう!