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「なんで、あんたが…」
「私の家、あの公園から5分くらいの所なんですよ」
にこりと笑う一条は、俺の側まで来るとベッドの端に腰を下ろした。びくりと固まる俺を余所に、前髪をふわりと撫でられる。
「痛くないですか?身体は」
壊れ物を扱うように触れられる。それが何故か心地悪く俯いてしまう。ぎゅっと手のひらに力が入っているのに気付いた一条は、そっと俺の手に触れ笑う。
「助けられてよかった。遅くなってすみません。早くあそこを通りかかれば貴方はもっと傷つかないで済んだのに。」
「…」
すみませんと何度も謝る一条に、ちくりと胸が痛む。別に悪くないのに。むしろ助けてもらったのに。
「…悪い。助かった」
小さい小さい声だったが一条には届いたらしく、するりと手首を撫でられ良かったと笑っていた。
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