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あれから抱き抱えられ、リビングのソファに降ろされた。一条は朝ご飯にしましょうと、急ぎ足でキッチンへ。
テーブルに並べられる色とりどりのご飯。すごく食欲をそそられ、それに気づいた一条は嬉しそうに笑う。
「さぁ、頂きます」
「…頂きます」
まさか対人恐怖症の俺が肇以外の人間と、ましてや食事をするなんて。自分でもこの感情に驚いてドキドキする。
一条のご飯はどれも美味しく、久々に満足度を与えた。すぐに皿は空になり食べ終えた。
「少し経ったら家まで送るので、それまでゆっくりしていてください。」
そう言い、片付けをしに行く一条の背中を見つめ俺は悩む。
(とりあえず、不動産屋に行かなきゃ)
家がない俺にはまず、不動産屋だ。部屋を借りなくては。
携帯を出し、近場の不動産屋を探していると後ろから声をかけられる。
「もしかして、夏城さん。家がないんですか?」
まさかと言うように尋ねられ、こくりと頷く。一条は何かを考えるように黙る。
よしと、一条は結論が出たのか俺にとんでもないことを言い出した。
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