困惑

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(……どうすれば) 3日が経った。俺は未だに一条の家だ。一条は病院に行っている。夕方には帰るらしい。俺はそのあいだ何もせず、窓際に座り外を眺める。 「ここに一緒に住みましょう」 まさか、そうなるとは。 条件としては、一条がいない時は家から出ない。その他は何をしてもいい。 俺としては、どちらにしろ外には出る勇気がないからいいのだけど。 (…空が青い) 俺はあの日も死のうと飛び降り、襲われた時も死んでもいいと考えてしたのに、こんなのんびりと生きていいのかと不安になる。 手首の傷が塞がる。不安だ。生かされてしまっている。死なないといけないのに。苦しくなってくる。 ふと、キッチンに行き小ぶりの包丁を持つ。何故だかこの時はいつも安心する。 すっと手首に包丁を滑らす。 赤い 赤い ぽたりぽたりと流しに垂れる血に頭が冷静になる。血を見ると安心する。死が近くなり、幸福を覚える。 どのくらい血を、眺めただろう。 「また、傷付けたんですか」 びくっと肩が跳ねる。いつの間に帰ってきたのか。いや、気付かなかっただけだ。 手首を引かれ、また治療される。
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