螺旋

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あの日から半年、今日俺は退院する。 やりたくもないリハビリをして歩けるようになり、普段の生活くらいはできるようになった。 ただ、悪化したのは一つだけ。 (…やばい。吐きそう) 病室を出た瞬間に、大勢の人。病院なのだから仕方がないが、やはり悪化している。 あの日、肇と別れた直後からだ。診察にくる医者もリハビリの看護師もすれ違う人間全部が駄目だ。 確かに前も大勢だと、過呼吸になったり極度の不安だったり恐怖が募ったが今はそんなレベルではない。 (怖い…立ち上がれない) 病室に戻って、へたりこんでしまった。腰が抜けたように力が入らず冷や汗が止まらない。無意識に手首に爪を立てていたようでじわりと血が滲む。 そんな痛みが今は心地よくて、更に強く爪を立てる。 あれから1度も肇には会っていない。何回か面会に来た肇を拒否したのは俺だ。 ただ肇と会わなくなっただけで、ここまで対人恐怖症が悪化するとは思わなかった。 「…くそっ。しっかりしろ俺。」 息が苦しくなり過呼吸になりかけた時、ガララと病室の扉が開く音がした。
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