風が吹いたから

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 今年の夏は長雨だったが、7月も後半にはいりようやく本格的な夏が始まった。 今日も朝から暑い。じりじりと、体の芯から汗がふきだしてきそうだ。 パート先の大型倉庫に行くときは自転車できている。パートのあと予定がなければ歩きでくるのだが、今日は小学校の懇談会がある。どうしても早めに帰らなければいけない。 ようやくついて、タイムカードを打刻する。 「おはよー。たっくんママ久しぶり」 「あ、おはよー、週に三日勤務だとくるの忘れちゃいそうよー。」 同じ小学校に通うゆうくんのママが声をかけてきた。 周りをみれば近所の人ばかり。 とはいっても、外資系の大手倉庫だから、リーダーのさらに上の人は、本社採用のエリートだ。当たり前だが、私みたいな下々の人間はあまり顔を合わせることもない。ま、必要もないし。  早速仕事にとりかかると、リーダーから呼ばれる。 「町田さん、今日から部署変更になるんだけど、いいかな。急遽人が足りなくなって。」 「え、どんな部署ですか?派遣先は知ってるんですか?」 「うん、派遣先にはもう連絡しました。町田さんさえよければとゆうことだから。ここだけの話だけど、急な話なので、時給も少しあげようと思ってます。額は派遣先に聞いてみて。で、どうします?嫌だったら断って。違う人当たるから。」 ちょっとまってよ。急にそんなこと言われても、決まってるでしょ。 時給上がるって言われたら断れるわけない。 夏休みは家族で温泉旅行へいくつもりだ。 「はい、ぜひお願いします!」
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