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「じいちゃん、きて!」
孫に呼ばれてソファに腰かけると、テレビからバスケットボールの試合が流れていた。
黒人も白人もごちゃまぜである。白と黒だけではない、あらゆる国から有望な選手たちが集まるようになっていた。
その中でも孫が憧れているのは、私たちと同じ肌の色をした選手だった。彼の跳躍は空中を歩いているかのように、見るものを惑わすプレイでボールを放つ。
「かっこいいなあ。僕もあんな風になりたい」
小さな瞳をきらきらと輝かせる孫は可愛らしく、その頭を撫でながら私は言った。
「なれるとも。良いことも悪いことも、すべて一瞬の出来事だ。君がその一瞬を掴まえられたら、スーパースターになれるかもしれない」
黒と白の境界線が壊れていくたび、あの日の太陽や男の声、泥塗れのフロントガラスまで細部が蘇って、私の視界を滲ませる。
君が生きていたのならと過ぎ去りし時を想ってしまうのだ。胸を締め付けて、じわじわと苦しませるもの。それは炭酸の抜けたコークの舌にまとわりつく甘さと同じで、余韻として残り続ける。
どれだけ考えても、男が生き返るなんて私の想像が現実になることはなく、しかし想像もしていなかった意外な未来がやってくるのだ。
一瞬とは、そんなものである。浮かんでは消えていく、炭酸の泡のように。
今も忘れられない、1950年の一瞬だった。
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