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17:18
上野行きの電車にのる。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
17:43
家についた。
黒いくつ、青いかさ、白いかびん。
「ただいま」
あれ
おかしいな。家に知らない女の人がいる。緑のエプロン。
家をまちがえたのかもしれない。
でも、黒いくつ、青いかさ、白いかびん。
ここは僕の家。まちがいない。
「こんばんは。橋本さん」
そう言ってくる、女の人。お母さんと同じくらいの年の人。
知り合いなのかもしれない。
メモちょうを開いて、かくにんする。
でも、やっぱり、わからない。
この女の人のことは、どこにも書かれていない。
「あの。お母さんは?」
「お母さん?」
ふしぎそうな顔をする女の人。
それから少しして、おこったような顔になった女の人が、らんぼうに言う。
「ああ。サチヨさんなら、休みよ」
「サチヨさん?」
「そう。あなたのたんとうだったんだけど。しんしんともに、まいっちゃって」
この人は、なにを言っているのだろう。
よくわからない。
「しんしんともに、まいっちゃって?」
「そうよ。あんた、こんなにでかいずうたいして、サチヨさんに、なにか変なことでもしたんじゃない?」
「変なこと?」
「あっ、ま、まあ…。別に、あなたが気にやむひつようはないんだけどね。これは、彼女のもんだいでもあるから」
そう言うと、女の人は、お風呂を指さした。
「ほら、さっさとお風呂に入ってきてください。後がつかえているんですからね」
いろいろ、たくさんしゃべる人だ。
服をぬいで、お風呂へ。お風呂の温度は、40℃。ちょうどいい。お風呂から出て、部屋着にきがえる。
部屋では、女の人が、ごはんのよういをしてくれていた。
カレーライス、サラダ、オレンジ。
食べる。
「今度、お母さん、いつくるかな?」
「さあ。いつでしょうかね」
そう言って、女の人はテレビの方を向いた。
テレビでは、ニュースばんぐみ。
おおもりさんが、大発見をしたみたい。
これはすごいことですって、かいせつの人が言っている。
僕には、よくわからないけど。
しょくご。女の人が、かたづけをしてくれた。
19:30
「橋本さん。あなた、明日も仕事でしょ。あんまり、よふかしはしないでくださいね。それじゃあ」
そう言うと、女の人は急いで帰っていった。
19:33
テレビを見る。
れきしの話。むずかしい。すごく、むずかしい。
ねむくなる。
22:00
ねる。
《了》
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