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「君、大丈夫かい?」 ふり向くと、けいさつの人がいた。青い服、青い服、青い服。 三人。みんな、大きな人たち。 「助けてください。僕、家に帰れないんです」 「そうかい。それじゃあ、君の名前を教えてくれるかな?」 「はい。橋本ユウキです」 大きな声で言う。 「そうか、そうか。橋本ユウキくんか。家に帰してあげるから、そこにある交番までいっしょに来てくれるかな?」 「はい。わかりました」 そう言った僕に、笑顔でうなずく、けいさつの人。 50才くらいのおじさん。いい人だ。 それから交番で、僕は、けいさつの人に、自分のリュックをわたした。 けいさつの人たちが、僕のリュックを開ける。 ちょっと不安だけど。 でも、けいさつなんだから、大丈夫なはず。大丈夫なはず。 それから、けいさつの人は、中にあった紙をとりだすと、電話をかけた。 「橋本ユウキくん。もう大丈夫だからね。おむかえがくるから」 けいさつの人が、僕に、やさしく言う。 「ほんとうですか?」 「ああ。ほんとうさ」 うなずくけいさつの人。ほんとに、いい人だ。 「すみません」 そんな声が聞こえて、交番に入ってきた、お母さん。 「もうしわけありませんでした」 そう言って、ペコペコと、なんども、なんども、けいさつの人に頭を下げるお母さん。 やっぱり 僕はダメだったんだ。 僕がダメなせいで、みんなに、お母さんに、めいわくをかけてしまったんだ。 いつも、いつも、そう。 いつまでたっても、僕のバカは、なおらない。 悲しくなる。すごく悲しくなる。 「ごめんなさい」 帰り道。そう言った僕に、笑ってみせるお母さん。 「いいのよ。気にしなくて。ほら、もう。そんなにしょんぼりとしないで」 「うん」 「今日のごはんは、ユウキの大好きなコロッケなんだから」 「ほんと?」 「ほんとうよ」 「やったあ」 コロッケ、コロッケ。大好き、大好き。 それから、僕は、お母さんといっしょに家に帰った。
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