3人が本棚に入れています
本棚に追加
「君、大丈夫かい?」
ふり向くと、けいさつの人がいた。青い服、青い服、青い服。
三人。みんな、大きな人たち。
「助けてください。僕、家に帰れないんです」
「そうかい。それじゃあ、君の名前を教えてくれるかな?」
「はい。橋本ユウキです」
大きな声で言う。
「そうか、そうか。橋本ユウキくんか。家に帰してあげるから、そこにある交番までいっしょに来てくれるかな?」
「はい。わかりました」
そう言った僕に、笑顔でうなずく、けいさつの人。
50才くらいのおじさん。いい人だ。
それから交番で、僕は、けいさつの人に、自分のリュックをわたした。
けいさつの人たちが、僕のリュックを開ける。
ちょっと不安だけど。
でも、けいさつなんだから、大丈夫なはず。大丈夫なはず。
それから、けいさつの人は、中にあった紙をとりだすと、電話をかけた。
「橋本ユウキくん。もう大丈夫だからね。おむかえがくるから」
けいさつの人が、僕に、やさしく言う。
「ほんとうですか?」
「ああ。ほんとうさ」
うなずくけいさつの人。ほんとに、いい人だ。
「すみません」
そんな声が聞こえて、交番に入ってきた、お母さん。
「もうしわけありませんでした」
そう言って、ペコペコと、なんども、なんども、けいさつの人に頭を下げるお母さん。
やっぱり
僕はダメだったんだ。
僕がダメなせいで、みんなに、お母さんに、めいわくをかけてしまったんだ。
いつも、いつも、そう。
いつまでたっても、僕のバカは、なおらない。
悲しくなる。すごく悲しくなる。
「ごめんなさい」
帰り道。そう言った僕に、笑ってみせるお母さん。
「いいのよ。気にしなくて。ほら、もう。そんなにしょんぼりとしないで」
「うん」
「今日のごはんは、ユウキの大好きなコロッケなんだから」
「ほんと?」
「ほんとうよ」
「やったあ」
コロッケ、コロッケ。大好き、大好き。
それから、僕は、お母さんといっしょに家に帰った。
最初のコメントを投稿しよう!